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Sabia

月曜日,月 27th, 2006

いやあ、このアルバムにはビックリした。ポルトガル語で歌う本格派のブラジリアン・ミュージック。歌っているのはchieという女性。しかしポルトガル語の発音といい、リズム感といい、本場の香りがプンプン漂っているので、てっきり日系ブラジル人だろうと思った。ところが7年間のアメリカ生活は経験しているものの、ブラジルには本作の録音以前、一度も行ったことがないという生粋の日本人だった。録音は2003年11月から12月、リオデジャネイロにて。アントニオ・カルロス・ジョビン、ジャヴァン、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、ミルトン・ナシメントらの曲をさわやかに、そして小気味よく歌っている。
湿り気とかげりのある声もいいが、なんといってもネイティヴを思わせるフィーリングが最高だ。本作の音楽監督をつとめたセルソ・フォンセカが彼女のことを絶賛しているのは、けっして社交辞令ではないだろう。小野リサを初めて聴いた時のような驚きと感動を味わえる素敵なデビュー作だ。(市川正二)

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ベートーヴェン:悲愴・月光・熱情

月曜日,月 27th, 2006

「悲愴」というタイトルとはうらはらな乾いた感性が、グールドの持ち出してきたこの曲の解釈の核だ。冒頭に出てくるいくつかの和音からして、強調された低音の上に薄い音の層が乗っているような響き。どろどろとしたベートーヴェンが好きな人向きの演奏でないことはすでに明らかだ。そうした人々は、鼻にかかった甲高い声を連想させる軽めの音色にも不満を感じることだろう。しかし、おおげさでない演奏を求めるリスナーにとってみれば、この音色こそが好ましく感じられる。彼らなら、キリリと冷えた白ワイン、それも少しスモーキーで石の香りが混じった辛口タイプに似ているとでも言うだろう。
「月光」もまたドライな演奏である。第2楽章でのはねるようなリズム表現、大胆なテンポの動かし方などが興味深い。身軽で自由なベートーヴェンだ。以上2曲は、暗い部屋の中にいたベートーヴェンの曲を明るいところへ連れ出し、少しばかり運動をさせて健康増進のお手伝いをしてあげたような演奏といえるだろう。
しかし、最後の「熱情」だけは話が違う。ただでさえ想像力が豊か過ぎる人間に不安の種をこれでもかと吹き込み、憂鬱の極みに追い込んでしまったような演奏だ。まずは第1楽章の異常に遅いテンポ。重い足かせを引きずり、真っ暗闇の中を意味もなく歩き回っているといった風情だ。その抑圧的な気分は曲を通して続く。ちょっとグロテスクでもあるが、その分、前2曲の軽やかさが引き立ち、アルバムの構成上、おもしろい効果を上げている。(松本泰樹)

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BLUES

日曜日,月 26th, 2006

キンブラ2年ぶりのオリジナル・アルバム。TMGEはもうおらず、似た匂いを放つバンドの多くがジャズ的な粋を標榜したり、世界の悲劇を背負ったりしている中で、文句ナシに放つ音だけで化学反応を起こさせるロックンロールは、キンブラのこの1枚に尽きると言っていい。
一時、グルーヴを追及する余りに鍵盤やブラスが消化不良のまま導入された時期もあったが、ギター2本とドラムの自由度が増したことで今回は他の楽器も生かされた。キリで刺すような鋭さや、ただ鳴っているだけでサイケなリヴァーブ、暴力的なカッティング。そしてドシャメシャに歪んだドラムの音響はブッ壊れたダブより凶暴で、時には甘美。退屈な自分を陵辱するものが自分以外にない、そんな切迫感と哀しみがセクシーとすら感じられる。(石角友香)

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